基礎のSE構法

建造物を支える土台、それが基礎と地耐力です。

地耐力が弱くて傾いた家

建物は地面の上にいきなり建て始めてもいいものではありません。そんなことをしたら建造物の重みによって地面にめりこんでいくかもしれませんし、傾いたり歪んでしまい地震を待たずして倒壊する危険もあります。建造物を安定させるには地盤としっかり連結させなければならず、地盤も上の建物を支えるだけの地耐力がなければなりません。簡単に言うと地盤がどれだけの重量を支えられるかを表わすのが地耐力で、これが上部に乗せられる住宅本体や基礎の重み、接地圧よりも大きくなければ建物を安定して支えることができないということになります。わかりやすく食パンと豆腐で例えるなら、地盤である食パンの上に建造物の豆腐を乗せてその中で数人が生活を送ります。食パンもわたあめほど柔らかくはないのですが豆腐を支えるには少し役不足で、食パンの地耐力では豆腐による接地圧を受け止めきれず、住宅である豆腐は食パンの上で傾いたり全体的に沈み込んでしまいます。これでは欠陥住宅で、震災ではない通常時すら不安を抱えながら暮らさなければならず、やりきれない気持ちになってしまいます。リビングの床にビー玉をそっと置いたらきっと転がりますし、大勢の来客が訪れた日にはその方々が集中している方角に住宅全体が傾いてしまうでしょう。安全で信頼できる住宅とはお世辞にも言えませんし、SE構法ではそんなことにならないよう必要になる地耐力を計算して設計されます。食パンでは豆腐を支えられない、だから硬いフランスパンを地盤に据えて、その上に基礎を築いて豆腐を支えるといった具合です。そして基礎ですが、接地圧にもビクともしない耐圧版を使用します。地盤が受ける荷重は、建造物の面積で全て一律ではありません。柱の部分は強くとかトイレの部分は軽くとか、箇所によって受ける力にはバラツキがあるので地盤にも歪みが生じるのです。なのでそれに負けないだけの耐圧性能を備えた基礎床を構築しなければやがては住宅本体も歪んでしまうので、地盤だけではなく基礎版もSE構法では気にかけるのです。どんなに強固な地盤にしてバツグンの地耐力を持たせても、建造物との間に位置する基礎が軟弱だとそこで力のバランスが崩れ、傾いたり外壁にヒビ割れが発見される欠陥住宅になってしまいます。また耐圧版そのものにヒビ割れが生じることもありますので、基礎となる耐圧版は充分な性能になるよう設計しないと危険なのです。SE構法においてこの基礎構造は単に建造物の重量から計算できるような簡単なものではなく、その土地の地盤はどれだけ安定しているか、といったことも考慮して設計されているので、同じような住宅でも建築される場所によって違った性能を持つ基礎構造になるようです。昔から水害の被害に遭いやすい、緩んだ地盤なら念入りに用心深く設計された基礎構造でなければ不安になりますし、その地域の地盤についても調査を行ってから設計を開始することになります。地盤に合わせて基礎構造の性能もアレンジする、オーダーメイドのような設計をする丁寧さもSE構法の持ち味のひとつでしょう。それを実現させているのがFEM解析で、従来の設計には使われていなかったこの解析方法により対象となる地盤にピッタリの基礎構造を採用しているのです。建築物がしっかりと耐震設計されて建てられていても、地盤や基礎が弱ければ無理な力が長期間かかり続けることになり、ちょっとした揺れで大きく損傷してしまうこともありますし、揺れていないのに破損することもあります。捩れや歪みにより壁がヒビ割れることはよく報告されていますし、そうした不幸に遭遇したくなければSE構法に頼りましょう。