SE構法と建材

住宅の素材にも拘っているから寿命も長くなります。

木造模型

木造住宅や自然素材の家には無垢材が好まれますが、残念ながらSE構法では無垢材は使用されないのが定説になっています。木目を眺めているだけで心が落ち着く、趣のある無垢材はマニアでなくても心の底から手に入れたいと願っている建材ですが、SE構法では集成材を用いることが推奨されており無垢材の出番はあまりありません。どうして集成材なのか、それはその方が耐震性能がアップするからです。計算によると無垢材の5割り増しの強度がある集成材は、SE構法で取り上げないわけにはいかぬ性能を有しているのです。無垢材も長く住宅を支えてくれる有能な建材であることは間違いないのですが、いかんせん工場で生産されるのではなく自然に育つがままに任せるしかないので、性能は一定ではなくバラツキがどうしてもあるのです。それが自然素材の魅力なのですが、耐震構法に特化しているSE構法ではムラのある建材は扱いづらいので、無垢材は避けられるのです。緻密な計算のもと設計されるSE構法なので、建材の強度がはっきりとわからないのであれば使うことが難しいのです。なので無垢材よりも確実に強度のある集成材がSE構法に適しており、またこれなしにはSE構法が成り立たないほど重要な建材でもあります。一部分だけ無垢材を使いたい、ここにワンポイントどうしても欲しい、といった要望が注文住宅で提案されたのなら聞き入れてもらえるとは思われますが、特に指定されなければ集成材を優先的に使うことになるでしょう。確実にこれだけの性能が約束されている、耐久力が備わっていると分かっている建材は、扱いやすいのでデザイン設計の段階でほぼ採用が決定するでしょう。金物はリン酸亜鉛処理がされている、カチオン電着塗装がSE金物として活躍します。これはカチオン電着塗装でコーティングされている金物で、ーティングは1層だけではなく手間を惜しまずに複数回数コーティングされています。そのおかげで劣化しにくくなっており、ある実験データによれば150年以上に相当する負荷を与えても全く意に介さずピンピンとしていたそうです。建物本体も新築時から100年も経過すれば取り壊しになるでしょうし、金物の製品寿命としては充分すぎる性能かと思います。この実験の信憑性ですが、実際に150年もかけて検証したのではなくあくまで150年相当の負荷を加えただけなので、本当に150年の歳月が流れた後にお達者でいられるのかはいまだ未確認です。この実験を正しく行うのなら約150年に及ぶ実験期間が必要になるので、仮に明日から開始したとしても実験に立ち会う化学者や科学者は結果を待たずに旅立つことになるでしょう。惜しいところまで頑張った、どころか道半ばにも届かず、全体の20%ほどの期間しか立ち会えないかもしれません。初代が旅立った後に2代目が引き継ぎ、それでも足りずに3代目、4代目と代替わりを幾度か繰り返してようやく到達できるのが、生の150年分のデータなのです。難易度も高いのでやる価値があるのかも疑わしい実験になりそうですし、恐らくこれを実行することはSE構法の証明のためだとしてもないと思います。わざわざ実験しなくても、今から新築する耐震構法、SE構法で建築された建造物をこれから150年間観察すればいいだけのことです。観察の対象を1軒に絞ってしまうと震災や火災にあった時に大きな負荷がかかり正確なデータがとれなくなるので、いくつかの建物をピックアップして定期的にチェックすれば簡単に実験の代わりとなります。それでも100年を待たずにリフォームや建て替えをする住宅も多そうなので、二桁を超えるサンプルを用意しておくといいでしょう。